心理カウンセラー佐藤照貴

                  (月〜土曜日9:00〜17:00)

「足るを知らない」悲劇

 夫の職業や地位がまるで自分の手柄であるかのように言いつのる妻がいる。彼女はさらに、子供の通う学校の特徴、飼い犬の賢さ、庭の木々の見事さ、住んでいる都市の美しさまでが自分の功績であるかのように言い立てる。 また、政治家や官僚は、自分たちが時代全体や歴史を左右しているかのような物言いをする。たいていの人は、自分が知っている事柄までをもあたかも特別に価値あるものかのように引き立てる。知っていれば持っているのと同じことだとすら思っている。

 このように彼らは、物や知識について言っているようでいて、本当は自我(自分)とその所有欲がどこまで肥大しているかを示しているのだ。それどころか、人は過去や未来までをも持とうとしている。(白鳥春彦著「超訳・ニーチェの言葉」より)