相談員は「心の通訳者」でなければなりません。「心の通訳者」?とは、心悩み、葛藤して崖っぷちにいる方の背景にある「声にならない溜息」を聴く「耳と器」を持っているということです。
臨床現場では、「○○でもうだめです」などと嘆く人に、相談員が「そんなこと言わないで前向きに考えましょう」「いつかいいことがあります」などと安易な励ましをすることは「心の通訳者」ではありません。前向きになれない理由を通訳・共感しようとしてないからです。
悩みを抱える人は「1+1=2」と正解はわっているのに、そう考えることができない自分にもどかしさや情けなさ、やるせなさを感じ悩んでいるのです。その「やるせなくて情けない気持ち」を汲み取れる人を「心の通訳者」といい、通訳ができた人のみ「わかってくれた」という存在承認が、葛藤を抱える人に、主体的な意欲と責任の芽が芽生えます。