産業カウンセラー資格更新研修会で、上嶋洋一先生が「問題を抱えながら自分のだらしなさや格好悪さと共存する」ことがカウンセリングの鉄則。「問題を抱えながら自分らしく生きていくサポートをするのがカウンセラーの仕事」と教えて頂きました。悩みや葛藤はダメではなく、葛藤を抱えながら自分の在り方を問い続けていくことことが重要なそうです。
フォーカシングの創始者ユージン・ジェンドリンは「ほとんどのセラピストは、治療結果が生じるのは患者内部の過程ではなく、自分たちの力によるのだと信じたがります・・・(中略)・・・しかし自分の問題がどんな感じか、そしてどこに問題の核心があるのかを知っているのは当人のからだだけです」と提唱し「人は誰でも考える能力がある」(交流分析の哲学)と符号するものです。
ある大学教授が悩みに葛藤してるとき、教室に入ってタバコを吸ってしまったそうです。それを見た学生は「先生教室は禁煙です。ダメでしょう!」とは言いませんでした。「先生ともあろう方が、教室でタバコを吸うなんて余程のことがあったんですね」と学生が言ったのを聴き、教授は「はっ」と我に返り、学生の存在を受容する言葉に涙腺が緩んだそうです。 上嶋先生はこの例を紹介され、カウンセリングのノウハウやスキルではなく、プレゼンスー心を込めてそこに佇むことの大切さを説かれました。表情の向こうにある人間の生き様、ライフストーリーが見える人が、敬聴(傾聴)できるようです。