アメリカの学校で理科の授業中実験に使っていたマウスが逃げどこかに隠れたのかわからなくなった。女性の教師はみんなに探させたが見つからない。そこで、「これだけ探して発見できないのならあとは、モリス君(後の「スティビー・ワンダー」)にお願いしましょう」。途端に、ちょっと待って何でアイツがという声があちこちから起こった。教室はざわめき、一人が「モリスは無理です」と手をあげて言った。実はモリスは目が不自由です。
教師は答えた。「なるほど、確かに目が不自由です。だからモリス君には無理だとみんなは思うかもしれません。でも、先生は知っています。モリス君は目が不自由でも神様から素晴らしい能力をもらっています。聴力です。モリス君、お願い出来ますか?」そして、モリスは期待に応えて捜し出した。日記にはこう書き残した。「あの日、あのとき、僕は生まれ変わった。先生は僕の耳を神様がくれた耳と言って褒めてくれた。僕はそれまで目が不自由なことを心の中で重荷に感じていた。でも先生が褒めてくれたことで僕にはおおきな自信がついた。」
このマウス事件から十数年。神の耳を生かして音楽の道に進んだ。シンガーソングライターとして鮮烈なデビューを果たす。スティビー・ワンダーという名前で!