「反動形成」という言葉を聞いた人は多いでしょう。好きな子にわざと意地悪をして気を引こうとしたことはありませんか?目の前の相手をひどく憎んでいるのに、なぜか親切な態度をとってしまうというようなことです。華々しく成功していた経営者が、一転して落ちぶれて浮浪者のような生活を送るという場合もこの反動形成にあたります。
実際の思いとは正反対の行動をとる心理メカニズムは、いわゆる「仕事人間」の中には、本当は仕事なんかしたくないのに、仕事の嫌いななまけものの自分と見られたくなくて、無意識のうちに仕事に熱中しているという人が少なからず存在します。本当は仕事が嫌いなので、仕事をしていてもちっとも楽しくなんかありません。 それなのに、どうしてもやめられない…こういう人は、子供のころから親に愛されずに育った人が多いのです。たまにもらえる気まぐれな優しさにしがみつきたくて、必死に耐えて自分を偽ってきた人です。その結果、無意識に「他人が求めてくれるような自分」を演出するようになってしまったのです。 反動形成のある人は、どこかわざとらしいものです。本心で動いてないので、それも当り前です。ぎこちない行動が「本当はこんなことしたくないんだよ!」というSOSの役目を果たしています。必死に無理を続けているうちに、心も体もついていけなくなり、だんだんボロボロになっていきます。