親族・仲間が「対人関係のゴール」と唱えたアドラーを紹介します。
「嫌われる勇気」で有名な アドラーは第一次世界大戦に軍医として参戦し、戦場で心を病んだ兵士の治療をしていました。「共同体感覚」という思想に到達したのは、この戦争の最中でした。休暇でウィーンに戻った時、突如として、「汝の敵を愛せ」というキリスト教の隣人愛に匹敵するこの考えを友人の前で披露しました。その時、これは科学ではないと考えた多くの友人を失うことになりました。
アドラーが、人と人とが殺しあうという現実を目の当たりにしたにもかかわらず、人と人は仲間であると考えるに至ったのは、引き金を引くことをためらう兵士の存在に気づいたからに違いありません。
兵士たちが心を病んだのは、攻撃本能によって、見境もなく他者を殺戮(さつりく)したからではなく、本来仲間である他者を殺戮することを強いられたからなではないでしょうか。
