ブータンが新型コロナウイルスのワクチン接種で成果をあげている。約77万人の人口のうち6割以上、成人では9割以上が1回の接種を受けており、こうした接種の大半が3月27日の接種開始から4月上旬までの2週間で実施された。
米ジョンズ・ホプキンス大によると、ブータンにおける新型コロナの累計感染者数は1000人超で、1日あたりの新規感染者も足元では30人未満で推移している。隣国のインドで連日30万人を超える世界最悪のペースで拡大しているのとは対照的だ。
ワクチン接種が進んだ要因について「事態が深刻になる前のワクチン接種の重要性を理解していた政治指導者によるところが大きい」と指摘している。医師としても知られるブータンのロテ・ツェリン首相の指示により、道路での輸送が難しい山間部には当局がヘリコプターなどでワクチンを届けたという。
ディチェン・ワングモ保健相は「国王はすべての対象者が安全に接種を受けた後にワクチンの接種を受ける考えだ」との声明を出し、国民や地域社会だけでなく国王を守るためにも接種を受けるよう呼びかけていた。(日本経済新聞 2021年4月30日 より抜粋)