防災研究者として多くの被災現場を見てきた防災研究者の片田敏孝さん(群馬大学大学院教授)が、釜石市での防災教育に着手。(以下、記事より抜粋)
・・・私は授業の最後に次のことを問い掛けた。「君たちは先生が教えてきたとおり、学校で地震に遭えば絶対に逃げてくれると思う。だけど、君たちが逃げた後に、お父さんやお母さんはどうするだろう?」 すると、子供たちの表情は一斉に曇る。学校まで自分を迎えに来るであろうこと、そしてその帰結がどうなるかが想像できるからである。
私は続けてこう話をした。「きょう家に帰ったら、お父さんやお母さんに君たちが教えてあげるんだ。『いざという時は、僕は必ず逃げるから、お父さんやお母さんも必ず逃げてほしい』と。そのことを心から信じてくれるまでちゃんと伝えるんだ」。
“津波てんでんこ”とは、自分の命に責任を持つということだけではなく、それを家族が信じ合っている。そんな家庭を築いておけ、という意味ではないだろうか」と片田教授は締めくくっている。