心理カウンセラー佐藤照貴

                  (月〜土曜日9:00〜17:00)

「・・親鳥は子どもを守るでしょ。でもうちの父は全然そうではないのです……」

工藤 信夫・平安女学院大学教授  精神科医 曰く(『心で見る世界』より)

  私の臨床経験の中に、かつて半年ほど、かなり口うるさい父親に連れられて病院にやってきていた青年がいた。何を聞いても一言も答えない(答えられない)ので、私はその青年は、言葉を失った人なのかと思っていた

  ところがある日、彼はあるセッションで次のように言い放って私を驚かせたのである。「先生、水鳥っているでしょ。水鳥が遊んでいるときに、敵がやってきたら、親鳥は子どもを守るでしょ。でもうちの父は全然そうではないのです……」。 彼の一言は、三十年経った今でも、私の心に鮮明によみがえる。沈黙の言葉とは、それほど力あるものなのである。

  「・・親鳥は子どもを守るでしょ。でもうちの父は全然そうではないのです……」。現代社会を反映しています。加害者は傍観者に守られ、被害者は、加害者と傍観者に排除される「無責任な社会」は置き去りにされています。