TSC特別セミナー講師の佐々木正美先生(精神科医)が、相田みつを さんの書「そのままでいいがな!」を解説されて、「子どものつまずきとは、今までやってきたことがどうも合っていないと、自分を見つめ直す時間、新たなものを発見するステップの時間です」という一言に、子育て・教育・部下育ての原点を教えて頂きました。
教員時代「点数をつけない子どもは堕落する」と信じ、子どもに強いる「強育」をしていたように思います。教育は、子どもも教師も共に育つ「共育」でありたいし、子どもの心の琴線に寄り添うことのできる「響育」でありたいものだと実感致しました。
つまずきのない人生がないように、つまずきを経験しない子どもなどいるわけもありません。今の子どもたちは、必要以上につまずきや失敗を恐れて立ちすくんでいないでしょうか。鋳型に自らをはめ込み、可もなく不可もない蒸留水のような人間になるのでは寂し過ぎます。子どもは本来、自分の中に自ら育つ力を備えているのですから、子どもに思いっきりまかせてやらせ、「ここぞ!」という時には手を貸す、そんな教師・上司・親が求められていると思います。
子どもや部下の成長には、もどかしいほどに時間がかかります。だから、「促成栽培」を望んではならないし、長い目で成長を待つ必要があります。未来の担い手である子どもたちが、親や教師による「受容」を通して、「私は愛されている」と心から感じる時、生きていく希望が湧いてくるのではないでしょうか。
「なんでこんなこともできないの!」と責める前に、自分の教え方が 分かりやすく、穏やかに教えているかを考えさせる講演でした。