この話は「支えあい・助け合い」の神髄を教えてくれる逸話です。(もう一度人を信じたくなる60の話より)より。
マサという男の子は、右足が不自由でいつも足を引いていた。だけど体育の授業にもサッカーの練習にも参加するがんばり屋。運動会が近づき、クラス対抗リレーの練習が始まった。そんなある日、マサがしょんぼりして職員室にきて担任の太田先生に「僕、クラス対応リレーには出ません」と言う。理由を聞くと、マサは、クラスの一部の子達が「マサがいる限り僕らのクラスは一等になれっこない」と話しているのを偶然に聞いてしまった。そこで先生に「僕はやめる。僕が走ると負けるから」と言いに来たのだった。
翌朝、太田先生はクラスのみんなにマサがリレーに出ないと言っていることと、その理由を説明し、最後に「リレーはみんなが力を合わせることが素晴らしいんだよ。大切な友達を、傷つけて、優勝したって何がうれしいの」と、問いかけた。
すると一人の男の子が立ち上がって、こう叫んだのだ。「マサ走れよ。クラスのみんなが一人一秒ずつ速く走れば、38人で38秒速く走れる」。
そして、運動会の当日、マサは歯を食いしばって、自分の距離を走り抜いた。クラスのみんなも、マサに一秒をプレゼントするために必死で走る。なんとマサのクラスに優勝が転がりこんだ。太田先生は涙の向こうの子ども達の笑顔が、まぶしくて仕方がなかった・・