心理カウンセラー佐藤照貴

                  (月〜土曜日9:00〜17:00)

「ばい菌」と呼ばれ…サヘル・ローズさん「心の傷」との向き合い方①

 イラン生まれのサヘル・ローズさん(32)は、中学校でひどいいじめを経験しました。「学校が全てではないです。本当の友達は、30代や40代で会うかもしれない」と語るサヘルさん。「心の傷」との向き合い方を紹介します。(教育テレビより)

最後まで読まなくても、これだけ覚えておいてという 【サヘル・ローズさんのメッセージ】

・全然強くなる必要も、すぐにはい上がる必要もない

・いっぱい寄り道してごらん。無駄な時間ほど財産

・生きていく意味はたぶん誰にもわからない。見つけるのが人生

  私は毎日同じ格好で学校に行っていて、たぶん悪臭もしていたと思うんですけど、みんなは私が公園で生活をしていたことは知らなくて。でも「給食のおばちゃんは見て見ぬふりをせず」に、私が帰ろうとした時に、私でもわかる日本語で声をかけてくれました。「ねぇ大丈夫なの? なにか困っていたら言ってね。おばちゃん助けるよ」。モールス信号に気づいてくれた給食のおばちゃんおばちゃんのおかげで公園生活を抜け出すことができました。小学5年の時でした。

     誕生日会に友達を招待した時に母が出したバナナロールがきっかけです。うちは貧しかったので、母はスーパーで夜半額になったものを買ってきてくれた。振る舞われたのは1人一口くらいのサイズで、バナナの色も変色していたものでした。私にとっては十分でしたが、みんなに嫌な顔をされて。あの頃から「この子の家お金ないんだ。なんか違うんだ」って。授業中に両側の子が下敷きを顔の横に立てて、私が振り返ると「なんでこっち向くんだよ、顔が腐る。下敷きも使えなくなった」と言われました。後ろから蹴られて階段から落ちたこともあるし、上履きを目の前で捨てられたこともありました。

   「先生も守ってくれなくて、見て見ぬふり」。どんどんエスカレートしていきました。それでも勉強ができる子、友達がいる子、いじめられていない子。「母が安心するサヘルちゃん」を演じていました。成績もどんどん落ちていったけど、成績表の5段階評価は「1」が一番いいと母にウソをついていた。 でもガラスのコップの中に入る水は限られていて、水があふれ出てパリンと割れる時がきました。中3の夏前だったと思います。もう死にたい、と。(つづく)