戦争の非人間性など社会問題一般に広げていった『不毛地帯』、『二つの祖国』、『大地の子』の戦争3部作の著者故・山崎豊子氏。私が一番印象に残っているのは「『白い巨塔』。大学病院の現実を描いた鋭い社会性で話題を呼び、田宮二郎主演で映画化されたほか、数回に亘りテレビドラマ化された。これも大阪大学医学部がモデルとなっており、大阪の風俗が作品への味付けとなっている。
私が山崎氏に魅かれるのは、自分の足で取材し一人でも正義を貫いた意思の強さと潔さです。「『白い巨塔』ではあらゆる手段を使っって出世と名誉を得ていく医師に対し、大学病院という巨大権力と戦ってきた医師の存在です。私はそのドラマを見た瞬間、安易な迎合や妥協で自分の出世を考えないで、大学病院の浅ましさに一人で権力に屈しず自分の信念を貫いた姿を見て、「私も一生かけてこんな生き方をしたい」と幼いながら心に決めました。
この幼児決断は、私の人生脚本(人生の青写真)となって、時に排除の屈辱を味わい不器用な生き方となっています。私は上司の機嫌を気にしたり自分の利益のためではなく「不器用に勝る器用なし」(ミスター半導体 岩手県立大学初代学長 西澤潤一)と信じています・・・