心理カウンセラー佐藤照貴

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「こだまでしょうか」・・「いいえ、誰でも」ー 金子みすゞが詩に託した思い

  2011年東日本大震災を受けて、CMでこの詩が流れたと聞いた時は本当に驚きました。「こだまでしょうか」という呼び掛けに「いいえ、誰でも」と答えている末尾の一文です。

「遊ぼう」っていうと
「遊ぼう」っていう。
「馬鹿」っていうと
「馬鹿」っていう。
「もう遊ばない」っていうと
「もう遊ばない」っていう。
そして、あとで
さみしくなって、
「ごめんね」っていうと
「ごめんね」っていう。
こだまでしょうか、
いいえ、誰でも。

  よいことも悪いことも、投げ掛けられた言葉や思いに反応するのは「こだま」だけではなく、万人の心がそうだと みすゞさんは言っているのです。この詩を耳にした日本人は、被災された多くの方々が味わった悲しみや辛い思いに対して、「こだまする自分でいられるかどうかと考えた」のではないでしょうか。一人ひとりがこの震災がもたらした被害を、自分のこととして感じる1つのきっかけを与えたのが『こだまでしょうか』の詩だと思います

  こだまというのは、山から投げ掛けた言葉がそのまま返ってくるわけですから、大自然の懐に包まれたような「安心感」を生み出し、私たちの「心を優しく」してくれるのです。この詩に触れ、心の内で何度もこだましているうちに、どこか優しくなれた自分を見つけることができたのでしょう。 (『致知』2011年7月号 特集「試練を越える」より一部抜粋)

 現代社会の嘘や意地悪・裏工作もいつか「こだま」してしまうことを忘れてはいけません・・・