2008年の北京オリンピック、競泳100メートル平泳ぎで金メダルを獲得した北島康介選手にまつわる話です。
“私は平井伯昌(のりまさ)コーチの言葉に胸を打たれたのである。彼は決勝直前に北島に対してこうアドバイスしたという。「勇気を持って、ゆっくり行け」スピードを競うレースにもかかわらず、彼は「ゆっくり行け」と指示した。・・・そこで平井コーチは200mを泳ぐ時のようにストローク数を減らして「全身を使ってゆっくり泳ぐ」戦略を立てて決勝に臨んだ。そして実際にゆっくり行ったら世界一速く着いたということなのである。”こういうことはしばしば起こります。
例えば、お店の評判や認知度を上げたいと思うとき。一つの方法は広告宣伝費を大量に使うことだが実はそれよりも、お店を訪ねてくださるお一人お一人に丁寧に向き合うことを積み重ねていった方が、長い目で見たら近道ということは大いにある。かと言って、のんびりやっていればいいということでもない。一つ一つ、一かき一かきには全力を尽くす。自分はこの「ゆっくり、いそげ(フェスティナ・レンテ)こそ、これからの経済や社会を考えるときの基本指針になるのではないかと思っています。
経済とは元々、中国の古典に登場する言葉で「経世済民(=世をおさめ、民をすくう)」の意であるとされています。