私の子育てを振り返ると、とにかく「勉強していい学校、いい会社、それが幸せ!」という価値観のスパルタ教育の父親で、子どもにピアプレッシャー(同調圧力)をシャワーのように浴びせていた父親でした。「そのままのあなたが素晴らしい」という一元の世界に触れさせて頂き、私の子育ては、大きな気付きを得、コペルニクス的に変わりました。
今は、「塾だ、偏差値だ、有名校だ!」と血眼になっていた自分が呪縛から緩やかに解き放され、「丈夫な身体と真っ直ぐな心の持ち主になることが大事だ」と宮沢賢治まがいのことを話し、「自分の好きな仕事に就き、社会に貢献し、幸せな家庭を築くことが大切だ」などと垂れる始末。そして、私の今までの子どもへの口癖は、「他人や社会に迷惑をかけない人間になって欲しい」でした。今になって考えると「どうして“人のために役立つ人間になれ”」と言って育ててこなかったかです。「迷惑さえかけなければよい」という、消極的な生き方ではなく、もっと積極的に「人のために役立つような人間になれ」と柄にもないことを口走る私に、子どもは最近(米沢に来てから)「この親父どうしたんだ?あなたは誰?」と言われる始末なのですが・・・。「もう遅い」ではなく「今から」自らを高める努力をし、身の丈にあったモノサシに基づいた生き方を、次代に引き継げるような父親になりたいものです。
子孫や次代の人たちの幸せの実現に力を尽くすことこそ、人の親としての義務であり、人間としてこの世に生を受けた者の使命だと思えるようになりました。「この人生は神様がくれた一枚の招待券である」と言われたのは、作家で詩人の高見順氏です。この「一元という招待券」を使って、これからの人生を、子育てを色鮮やかなものにしていきたいものです。